会社設立の経緯とモットー

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会社設立の経緯とモットー

 
 今から30年以上前に、現在もIC封止材の主役の座にある半導体封止材料(エポキシ樹脂)の代替材料に関する技術動向調査を頼まれたことが、弊社設立の契機だったと言える。ご依頼があったのは会社情報(四季報)によると、大手の樹脂加工メーカーに分類される企業からであった。素人同然の者によく声を掛けて頂いたことに驚く他ないが、半導体封止材料に関してはポストエポキシ樹脂(エンプラ化)の動きがあることなどを一部の業界誌や新聞に当時投稿していたのは、事実である。
 
 その大手樹脂加工メーカーは総合化学品のメーカーでもあり、所謂ファインケミカルの研究開発にも注力されていた。設立間もない弊社にとってラッキーだったのは、エレクトロニクス分野に関係する特定のファインケミカル品の将来性をどのように見るべきかといった観点からの技術・市場動向調査をその企業から継続的に、しかも謂わば当方の実力に見合った形でご依頼を受けたことであろう。
 
 会社設立当初のことでは、もう一つ触れておきたいことがある。こちらから提案させて頂くものを除くと、リサーチやコンサルティング案件は全てクライアント各位からのご依頼になる。テーマも徐々に広がって来ると、当然のことながら出来不出来の波がある。仮に出来が良かったと自己採点しても、モチベーションが伴うような案件は例外的で、レポートの完成後もある種のストレスを引き摺ったままになる。
 
 そんな時に、よく声を掛けて励まして頂いたのは西日本を出自とする化学品メーカーで、その企業の開発部門の方々から身内(社員)に準じるような親しさで接してもらった。この温かさは、金品に代えがたい。しかも、そのクライアントは最初の出会いから数年後に顧問契約先になって頂き、経営的にも下支えしてもらった時期がある。
 
 さて、お陰様で現在はスタッフにも恵まれ、以前のような淋しさというか孤独感を味わうことはないが、クライアント各位の多岐に亘るご相談に適切に応じきれない能力不足に忸怩たる思いが募る。

 調査・コンサルティングの概要は、月に一度は更新しているホームページでご紹介しているが、ここ数年でのテーマの広がりは予想外のことである。これは大変喜ばしいことには違いないが、レポートの出来栄えに関する不満を忘れることはない。ただ、よく考えてみると、そのような自己省察や満足感のなさが次への弾機(ステップ)に繋がっていると言えるのかも知れない。
 
 弊社のモットー(座右の銘)なるものを声高に叫ぶような無粋な真似はしたくないが、今後も手放したくない細やかなこだわりのようなものはある。これまでの歩みで自負するものは何もないが、与えられた課題に誠実に取り組むことは当然として、そもそもどのような課題なら対応が可能なのかをイメージして頂く先端的情報をタイムリーに発信できるセンスを磨き続けること。独りよがりを戒めつつも、他よりも半歩リードできる歩幅の獲得を目指すことを決して諦めないこと。どこまでも粘り強く、能力は高が知れているだろうから、後は執念と知的スタミナしかないと力説しておきたい。
 

2019年4月26日
有限会社 カワサキテクノリサーチ
代表取締役 川崎 徹